成蹊中学校で中学3年生が取り組んでいる「桃李」の授業の中間発表会が行われました。成蹊中学の文化祭である蹊祭にて、中学3年生の全生徒が一人2分でここまでの学習の成果を発表しました。中学3年生の桃李では、過去4年間、これからの自らの人生について、将来を見据えて探究を行う学びを続けており、私は初年度からコーディネーターとして関わってきました。蹊祭での中間発表も今年で4年目です。
今年の中学3年生は、1年生のときから学年テーマである「セカイをchange!」に取り組んでいます。2年生の時には地域である吉祥寺の街をchangeする提案を行ったようです。中学3年生は自分の将来のキャリアを考えることを大切にしており、自分が何かしらセカイを変えられるような取り組みを考えてみよう、という方針で一人一人がテーマを設定して探究しています。
セカイをchange!というと、環境問題や人権問題などの世界的なテーマに取り組んだり、何か大きな発明をすることが求められるのかと感じますが、ここで言う「セカイ」は自分の手が届く範囲の社会(友達、家族、学校など)のことを指しています。
探究学習において重要なのはテーマの設定です。
なんでだろう?面白そう!という好奇心から始まれば、自然と探究的な学びに繋がります。今回は、自分の好きなこと、または困りごとから考えました。スポーツや、アイドルなど大好きな事を選んだり、早起きできないとか、好き嫌いをなくしたいという普段の生活で困っていることを各自が自分で設定しました。
今回は、それぞれがテーマに関連したリサーチクエスチョン(研究課題)を設定して、夏休みに深掘り調査をした結果を発表しました。進んでいる生徒は、課題の解決方法の提案まで考えています。
3年生約270人が一人2分でそれぞれがユニークな発表を行いました。
「立川が田舎だと思われないためには?」
「子どもでも薬を飲みやすくしたい」
「スポーツ選手のセカンドキャリアを成功させたい」
「3時間目と4時間目の間にお腹が鳴るのを防ぎたい」
大人の発想では出てこないような具体的な課題や興味から、そういう手段で解決しようとするのか、というユニークなアイディアがたくさん出てきました。実際に企業に提案すればサービスとして実現できそうなものもあれば、実現には相当なチャレンジが必要なものもあります。
この「桃李」の授業には保護者がサポーターとして参加していただいています。
各クラスに2-3名の保護者が入り、生徒たちの探究の支援をしてもらっています。今回の発表にも保護者サポーターが見学されていましたが、前回の授業の時からの進歩のすごさに驚いていました。毎年そうなのですが、生徒は発表というアウトプットの舞台に向けて集中して取り組んだ時の力はすごいです。
生徒は後半ではリサーチクエスチョンや解決策に関連する大人(専門家、当事者など)に取材(インタビュー)を行います。誰にインタビューを行うか、どうやってコンタクトするか、いつどういう方法で行うか、など、全て生徒が自分で考えて行動します。
これまでの3年間の生徒たちによる振り返りでは、自分一人で知らない大人に連絡を取ってインタビューすることが出来た、というのが最も成長した点だった、と答える生徒が最も多かったです。
中学3年生にとっては、とても勇気がいる、緊張もする活動ですが、一度経験をすれば次の時にはもっとこんなことを聞いてみよう、もっと早めに行動しよう、など学びと気付きが生まれます。
最終発表は3月です。
生徒たちの探究がどこまで進化していくのか、これからが楽しみな活動です。
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