ミライプラス×アジアンドキュメンタリーズ 「わたしの運命」鑑賞対話会

ドキュメンタリー映画を使った学びを広めていくため、新しく学校教員限定のドキュメンタリー映画鑑賞対話会を始めました。

なぜ教員限定なのか？

日本ではドキュメンタリー映画を観るという文化が醸成されていません。

しかし、ドキュメンタリー映画には、ハリウッドの劇映画にも、YoutubeやTikTokなどのショート動画にもない魅力があります。

特に社会課題をテーマとしたドキュメンタリー映画は、観て楽しむだけではなく、そこで取り上げられている課題の背景や、その国の事情、そこに登場する人たちの想いを深く掘り下げて考えるキカッケになり得ます。

ドキュメンタリー映画は学びの材料でもあります。

ぜひ、学校を使って子どもたちにも観てもらいたいのです。現状は、残念ながらドキュメンタリー映画を取り入れている学校はごく一握りです。もっと多くの学校で生徒、学生に観てもらい、映画のテーマを基に探究的な学びを進めてもらいたいのです。

ドキュメンタリー映画の教育活用を実現していくためには、まずは先生方に価値を理解していただく必要があります。普段、大変忙しく仕事をされている先生方が自分からドキュメンタリー映画を観て活用を考えるのは大変です。

そのため、アジアンドキュメンタリーズさんのご協力を得て、先生方にドキュメンタリー映画を観て対話する経験を増やしていただく機会を作ることにしました。

初回に取り上げたのは映画「わたしの運命」。

イランの作品で、障害を持つ父親と大学進学に悩む娘の葛藤を描いた作品です。

映画は、病気で亡くなった母から娘へのメッセージで始まります。一人で生活することが難しい父は、母が亡くなってからは18歳の娘が面倒を見ています。

娘も大学へ進学する年齢になり、父を残して大学に進学して勉強を続けるか、家に残って父の生活を支えるかで悩みます。イランの田舎の経済的に厳しい環境、依然として女性の地位が低い状況、障害者の支援の不足など、日本とは異なる社会環境も見えてきます。

そして何よりも父と娘の愛情あるやり取りに感動します。強く心を動かされる映画です。

映画鑑賞のあとに参加者で対話を行いました。

映画について感じたことを共有し、それぞれが様々な視点から映画を観ていることに気付きます。映画に出てくるサハルと父の関りは、今の日本では希薄なってしまったものなのではないか。父には収入がない状況で、家族はどのように生活をしているのだろうか。雪が積もった風景はどこか日本の地方と重なるものがある。などなど。

対話から一人で観るのでは得られなかった気付きや視点を得ることが出来ます。

ドキュメンタリー映画を教育現場で導入する可能性についても議論しました。

先生方は、映画が持つ価値は大いに評価をしていただきました。一方で、授業や行事ですでに時間的に余裕がない学校で、一定の時間数を使ったプログラムを導入する難しさもありそうです。

実際に現場でより良い教育の実現に取り組んでいる先生方からは様々なアイディアをいただくこともできました。

今後、継続的に鑑賞会を実施し、学校でのドキュメンタリー映画活用についてアイディアを増やしていきたいと思っています。ぜひ、ご教員がある方は次回以降の開催をチェックしてください！