「みんなの社会共創対話」は、昨年1月に始まった教育と社会が対話を通じて繋がるイベントです。今回は4回目。ソニー教育財団のご後援を受けてソニーシティ大崎が会場となり、100名以上が集結しました。
参加者の約6割は学校教職員。残りは民間企業やNPO・その他団体、保護者、学生など多様な立場の人が参加しました。「教育」を真ん中に置いていますが、普段は接することがない様々な立場の人がともに同じゲストのお話を聞き、感じたことを対話するのが社会共創対話。今回も明日への勇気がもらえるような、素敵な空間になりました。
今回のゲストは、広島県で様々な課題を乗り越えて教育改革を推進した平川理恵さん、医師でありながら西洋医学の在り方に疑問を持ち「いのち」を中心に活動し続ける稲葉俊郎さん。オープニングトークは、これまでの社会共創対話でも幅広いお話をいただいている鈴木寛さん。この方々のお話を間近で聞くことが出来る、なんとも贅沢な時間です。
オープニングトークはスズカンさん。
今回のトピックについて全体観をお話いただきました。スズカンさんがこれまで医療改革と教育改革に取り組んできたのは、医者と教師は本当の意味でプロフェッショナルであるからとのこと。医者は人の命を救い、教師は人の人生の土台作りのお手伝いをする。この仕事はどちらも「いのち」に関わる仕事なのだと、今回のゲストお二人に繋がる内容でした。
平川さんは広島での教育改革について熱く語っていただきました。
教育改革のツボは「カリキュラム」×「カルチャー」×「システム」とのこと。カリキュラムは、授業の中で「主体的・対話的で深い学び」を実践していくこと。カルチャーは、広島県の教育委員会や学校の組織風土を変えること。やらなくても良いことはやらない、教育行政や学校組織こそ探究的に学ぶ文化に変えていったと言います。そして、システムは公立高校入試改革。高校受験を変えない限り、学びの繋がりが作れません。抵抗勢力がたくさんある中で、本気の教育改革を実現してきたお話は参加者のみなさんに勇気を与えるものだったと思います。
稲葉さんは「いのち」のお話をしていただきました。
稲葉さんは子どもの頃は身体が弱かったそうです。自分の体験から「いのち」に興味を持ち、医師になる道を選びました。医師として仕事をする中で西洋医療が病気を分離して叩くことに違和感を感じ、伝統医療や民間医療などを学びはじめ、さらには能楽や芸術にも興味を持つようになったとのこと。これらは全て「いのち」の探求の活動なのです。稲葉さんは、病院は「治す場所」ではなく「治る場所」になるべきである、と言います。これは、学校にも通じるのではないか。学校は「教える場」ではなく「学ぶ場」になるべきなのではないでしょうか。
「みんなの社会共創対話」では、毎回素晴らしいゲストにお話をしていただいてますが、ゲストのお話は「前菜」です。メインディッシュは参加者のみなさん同士の対話です。平川さんのお話、稲葉さんのお話、それぞれを聞いた後にたまたま一緒になった参加者のみなさんが感じたことを対話しました。
ここに集まっているのは、立場も環境も年齢も異なる方々。高校生からシニアな方まで、皆さん同じ話を聞いてそれぞれの意見を交わします。同じ話を聞いても感じ方は人それぞれ。参加者同士で意見を交わすことで視野が広がったり、共感したり、何か勇気をもらえたり。もっと話したかった~という感想もありました。
修了後は懇親会に移動。対話の場は懇親会まで続きます。
ゲストのみなさんも参加してくださいました。イベントで話足りなかったことも、懇親会でさらに熱く、深く話し合う事ができたのではないでしょうか。
参加者からいただいたコメント:
「とりあえず汗かいてやろう!という、平川さんのあり方。そして、稲葉さんのいのちを踏まえたアプローチ、医術芸術教育の交わりを意識しながら進めていけたらと思います。本日は素晴らしい場をありがとうございました。」
「平川先生のお話を聞き、教育改革は現行の制度の中でも、多面的に展開しうると言うことを学び、自分の関わる地域でできること、もっと考えていきたいと思いました。また、稲葉先生のお話からは、人間としての成長を包括的に捉えていくことの重要性を再認識しました。ウイルスと人間、人間と地球、どちらも1000万倍。環境関係の仕事をしているので、地球から人間を捉えると視点がとても面白く、時間的空間的つながりを意識して、物事を捉え直してみたいと思いました。貴重な機会をありがとうございました!」
「子供の学びを面白よく、活発にするためには我々大人が変わることが大切だと改めて気付きました。大人同士も対話を恐れず、経験年数も関係なく、自由な議論ができる職場を創っていくことがとても重要だと改めて思いました。
組織の風土を変えるにはまずトップの意識を変えること。でもそれが一番大変で、自分の立場でどのように行動すればよいのか具体的にはよくわからず、まだまだ疑問ばかりですが試行錯誤しながらやっていきたいと思います。今後の仕事の見通しをもつためにも、常に意識を高めるためにもまた参加したいです。よろしくお願いします。」
社会共創対話の運営は、教員中心に集まった社会共創プラットフォームのメンバーとサポーターのみなさんで行っています。今回の対話イベントのために、何度もオンラインで集まり、どんなことを大切にした場にするか、ゲストは誰にお願いするか、どうやって運営していくか、など、毎回夜遅くまで話し合いました。
社会共創対話に参加していただくみなさんに楽しんでいただくためには、まずは運営の我々が思いっきり楽しむこと! 本当に楽しいチームです!
仲間に入りたい!という方、ぜひご連絡ください。
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